AutoCADの基礎

仕事でAutoCADを習得する必要があったので、基礎知識や操作方法をメモしておきます。

AutoCADとは

AutoCAD(オートキャド)は、オートデスク株式会社が開発する汎用のCADソフトウェア。1982年、最初のバージョンである1.0が発売された。建築・土木・機械分野をはじめとして、汎用CADとして多く利用されている。

画面の見方

以下が画面構成になります。いろいろな名称がありますが、特に重要なのはリボン、コマンドライン、モード切替ボタンです。

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AutoCADでコマンドを実行するには、2つの方法があります。

  • リボンから実行する方法
  • コマンドラインにコマンドを入力する方法
    の2種類です。

例えば、リボンから「線分ツール」を選択するのと、コマンドラインから「LINE」を打ち込むのは全く同じ意味になります。コマンドラインではさらに、打ち込んだコマンドに対して何かオプションを設定することができます。

モード切替ボタンでは、グリッド(四角補助のための四角い升目)や、スナップモード(グリッドへのマウスカーソルの吸い付き)や、直行モード(線が90°毎にしか引けなくなる)や、極トラッキング(カーソルの動きを指定した角度に調整)のオン・オフができます。

用紙サイズについて

最近では、CADの普及により、打ち合わせなどもCADのディスプレイ上で行われることも増えてはきましたが、あくまでも図面は紙の上に描かれるものです。

図面に用いられる紙のサイズには規格があります。

規格 サイズ
A0 1189 × 841
A1 841 × 594
A2 594 × 420
A3 420 × 297
A4 297 × 210

尺度について

JIS規格では、尺度を、現尺、倍尺、縮尺の3種類に分類しています。

  • 現尺
    対象物の大きさと、同じ大きさに図形を描く場合の尺度のことです。現寸や、実寸と呼ぶこともあります。
  • 倍尺
    対象物の大きさよりも、大きい大きさに図形を描く場合の尺度のことです。
  • 縮尺
    対象物の大きさよりも小さい大きさに図形を描く場合の尺度のことです。

現尺では図面に収まらなかったり、小さすぎる場合に倍尺や縮尺を用います。
尺度は分数で表す場合(1/10)と、比率で表す場合(1:10)とがあります。

図面の尺度の基準として、JISで推奨する尺度があります。

  • 現尺 1:1
  • 倍尺 50:1, 20:1, 10:1, 5:1, 2:1
  • 縮尺 1:2, 1:5, 1:10, 1:20, 1:50, 1:100, 1:200, 1:500, 1:1000, 1:2000, 1:5000, 1:10000

AutoCADの考え方

多くのCADでは、図面を新規作成するときに用紙サイズと尺度を設定します。
しかし、AutoCADには、用紙サイズ、尺度といった概念はありません。

AutoCADの世界では、用紙にとらわれることなく、
無限の広がりを持った空間に、実寸(実際のサイズ)で図面を描画します。
用紙サイズや縮尺は印刷するときにだけ考えればよい、
というのがAutoCADの基本の考え方になります。

また、実寸といってもAutoCADの世界では、mmやm単位があるのではなく、
特に属性の指定のない“作図単位”があります。
これをmmやm、必要があればインチやフィートとみなして作図していきます。
この記事では 1作図単位=1mm として学習を進めます。

しかし、捉えどころのない無限の空間に作図するのはあまりにも頼りなく、また印刷する際にも、どこを印刷するのか指定する手間がかかるので、AutoCADでは「図面範囲」というものを指定することができます。
想定する用紙のサイズを図面範囲に一致させておくと、作業が管理しやすくなります。

例えば、A4(297×210) 1/10 の図面は、実寸の世界では用紙の限界は、(297×10)×(210×10) となります。
10分の1に縮めて描くということは、図面の中の世界において用紙は現実の世界の10倍のサイズになるわけです。そのため、AutoCADでの図面範囲は2970×2100ということになります。

練習

例えば、東京タワーをAutoCADで作図するとき、A3の用紙(420mm×297mm)に印刷するにはどれくらいの縮尺を使えば良いでしょうか?このとき、東京タワーの高さは333m、幅は80mとします。

答えは1:1000です。

単位のm(ミリ)は1000分の1を表すので、1000倍することでミリの単位を外すことができます。
1000倍すると、A3用紙は420m、297mとなり、東京タワーが収まります。
つまり、AutoCADでは420m × 297mの作業範囲を作った後、実寸で東京タワーの作図を行い、A3用紙に印刷するときに1000分の1に縮尺します。

基本操作

マウスのスクロールボタンを回すと、拡大・縮小を行います。マウスのスクロールボタンを押し込んでドラッグすると、手のひらツールになり、画面上を移動することができます。マウスのスクロールボタンをダブルクリックすると作図範囲がピッタリと画面に収まるように移動します。

実際に作図を行っていく流れとしては以下のようになります。

  1. 画面右上のクイックアクセスツールバーから新規作成を選択し、テンプレートからacadltiso.dwtを選択する(acadltiso.dwtを作成した時点では、A3用紙サイズである420×297に設定されており、単位にはメートルが設定されています)。
  2. LIMITSコマンドで図面範囲を任意のサイズ(A4 297×210など)に変更します。
  3. 画面右下から用紙サイズに合わせて注釈尺度を設定します。
  4. 書きたい線に合わせてモード切替ボタンからモードをオンにします(基本は作図グリッドとスナップモードは常にオンにしておいて、直行モードや極トラッキングをオン・オフで使い分けていく感じです)。
  5. リボンからツールを選択します(コマンドラインにツールに対応したコマンドが打ち込まれる)。
  6. クリックして線を引いたり、コマンドラインから数値を入力して線を引いたりします。
  7. Enterキーでコマンドを抜けます(Escキーでもコマンドを抜けることができます)。もう一度、Enterキーを押すと再度コマンドを実行します。
  8. 4~6を繰り返して線を引いていきます。

重要な基本操作について説明します。

LIMITSコマンド

新しく作図を始めるときには、新規作成を選択し、テンプレートのacadltiso.dwtを選択します。
新しくファイルが作成されると、初期値として作図範囲はA3用紙サイズである420×297になっていますが、この作図範囲を変更するためのコマンドがLIMITSです。

コマンドラインにLIMITSと打ち込んでEnterキーを押してください。すると、「LIMITS 左下コーナーを指定 または[オン(ON) オフ(オフ)] <0.0000,0.0000>:」と表示されます。

LIMITSコマンドでは、左下コーナーと右上コーナーを指定することで、作図範囲を変更することができます。

現在は「左下コーナーを指定」となっていますが、左下コーナーとは、画面左下に表示されているXとY座標の原点のことです。この原点が<0.0000,0.0000>に相当します。
左下コーナーは初期設定のままで構わないので、このままEnterキーを押してください。

続いて、「LIMITS 右上コーナーを指定 <420.0000,297.0000>:」と表示されます。現在はA3用紙のサイズになっていますね。ここに297,210と打ち込んで、作図範囲をA4用紙のサイズに変更しましょう。打ち込みが終わったらEnterキーを押して確定してください。

次に画面右下のスナップモードのオン・オフボタンの隣にある▼からスナップ設定を選択してください。
「スナップとグリッド」タブの「グリッドの動作」から「図面範囲外のグリッドを表示」のチェックを外し、OKを選択します。

これでA4用紙と同じ大きさの作図範囲が作成されたことが画面でも確認できるはずです。

線分ツール(LINEコマンド)

初めに、モード切替ボタンの、赤枠で囲んだ部分をすべてOFFにします 。(すべてグレー表示にします)

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  1. リボンの[作成]グループの[線分]をクリックします。コマンドラインに、[LINE 1 点目を指定:]と表示されます。
  2. 1点目として、作図領域内の任意の位置でクリックします。コマンドラインには、[次の点を指定 または[元に戻す(U)]:]と表示されます。
  3. マウスカーソルを動かすと、仮の線が表示されるので、次の点として任意の位置をクリックします。
    コマンドラインには、[次の点を指定 または[元に戻す(U)]:]と表示されます。
  4. ここで線分を終了させたいので作図領域内で右クリックし、ショートカットメニューから[Enter(E)]をクリックします。コマンドラインは、[コマンド:]と表示され、待受け状態になります。
  5. もう一度、作図領域内の任意の位置で右クリックし、ショートカットメニューから[繰り返し(R)LINE]をクリックします。コマンドラインには、[LINE 1 点目を指定:]と表示されます。

このようにEnterキーを押すとコマンドを確定(終了)し、もう一度Enterを押すとコマンドを繰り返します。

図形を削除する

先ほど線分ツールで描いた線を削除してみましょう。
描いた線の左上にカーソルを持っていき、クリックします。続いて、描いた線の右下にカーソルを持っていきます。このとき、作成する範囲に描いた線の全体が含まれるようにしてください。クリックすると描いた線が選択されます。この状態でDeleteキーを押すと、描いた線を削除することができます。

実はAutoCADには何かを選択するときに2種類の選択方法があります。

  • 左上にカーソルを持っていき、クリック ⇒ 右下にカーソルを持っていき、クリック
    線全体が選択範囲に含まれている場合のみ、選択対象になります。
  • 右上にカーソルを持っていき、クリック ⇒ 左下にカーソルを持っていき、クリック
    線の一部でも選択範囲に含まれていれば、選択対象になります。

選択方法はどちらでも構いませんが、違いがあるということは押さえておいてください。

直交モード

モード切替ボタンから「直交モード」をクリックし、オンにします。

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リボンから線分をクリックします。1点目として、任意の位置でクリックします。
マウスカーソルを動かしてみると、90度おきに線分の動きが制約されていることがわかります。
また、モード切替ボタンを使わずに、Shiftキーを押すことで、押している間だけ直交モードをオンにすることもできます。

確認が終わったら、直行モードをオフにしておきましょう。

ダイナミック入力

ダイナミック入力は、データ入力方法のひとつです。
カーソルの近くに距離や角度などの情報を表すツールチップが表示され、操作内容に合わせて表示内容が更新されます。ツールチップの入力フィールドにオプションや値を指定・入力することができます。

モード切替ボタンから「ダイナミック入力」をクリックし、オンにします。

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リボンから線分をクリックします。1点目として、任意の位置でクリックします。
作図領域では下図のように表示されます。

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この二つの数字は、現在のマウスカーソルの位置を座標で表しています。キーボードから、ここに数値を入力して、座標を指定することができます。(X座標からY座標の入力に移るにはTabキーを使用します。)
また任意の位置でクリックして1点目を指定することもできます。

1点目として、任意の位置でクリックし、マウスカーソルを動かしましょう。
1点目からの距離と角度を入力して2点目を決めることができるようになります。

コマンド操作を取り消す

コマンドを取り消す方法は、いくつか用意されています。

  • ショートカットメニューから取り消す。
    コマンドが待ち受け状態になっていることを確認し、作業領域内の任意の位置で右クリックします。ショートカットメニューから[元に戻す(U)]をクリックします。
  • クイックアクセスツールバーから取り消す。
    クイックアクセスツールバー(画面右上部)の、[元に戻す]ボタンをクリックします。
  • コマンドのエイリアスから取り消す。
    コマンドラインに、キーボードから《U》と入力し、[Enter]キーを押します。“u”はアンドゥコマンド“undo”のエイリアスです。
  • キーボードショートカットから取り消す。
    キーボードショートカット[Ctrl]+[Z]キーを実行します。

三面図とは

三面図とは、物体を「正面」「側面」「上面」の3方向から見たときの見え方を図にしたものです。人物等の場合は「正面」「横」「後ろ」、建物や乗り物の場合は「正面」「横」「真上」が多いです。 三面から見ることで全体像がほぼ把握できるので、設定資料としてよくこの構図が使われます。

sannmenzu

三面図を描くコツとしては、線の位置などを合わせることです。
例えば、上記の正面図の左の線と上面図の左の線のX方向の位置は等しいですね。

参考資料
スクールの教科書