Photoshopによる写真の色調補正

Photoshopの写真の明るさやコントラストを変えたり、写真の色味を整える機能についての自分用メモです。

※本記事の一部の画像はアドビ システムズ 株式会社のhelpページから引用させていただきました。

色調補正を行う意味

例えば、時間帯や天候、照明などのさまざまな条件により、思い描いていたような写真が撮影できないことがあります。
あるいは、1枚のポスターに複数の写真を貼り付けて作成する際に、それぞれの写真の明るさや色合いがバラバラだった場合、統一感のないポスターに仕上がってしまいます。

色調補正を行うことで、写真の明るさや色合いを整えて、思い通りの仕上がりにすることができます。

色の仕組み

色は「色相」「彩度」「明度」の3つの要素から作られています。これらの要素を知っておくことで色調補正で頻出する言葉の意味が分かるようになります。

色の三要素 説明
色相 色合いを指します。赤、青、緑といった私たちがイメージする「色」に最も近い要素です。
彩度 色の鮮やかさを指します。彩度が低ければ色がくすみ、無彩色(白から黒へのグラデーション)に近づきます。彩度が高ければ、鮮やかな色になります。
明度 色の明るさを指します。明度が低ければ、色が暗くなり、明度が高ければ、色が明るくなります。

色調補正による画像の破損に注意

色調補正は、非可逆的な処理です。なので、やればやるほどデジタル画像が破損していきます。例えば、写真の明度を限界まで上げた後に、写真の明度を下げてみると、画像の一部分が白いまま戻らなくなる「白とび」と呼ばれる状態になります。これは色調補正によって白くなった部分のピクセルのデータが消失したために起こった現象です。

色調補正を行う際に注意すべき、画像破壊のパターンを表にまとめました。

破壊パターン 説明
白とび 写真の明度を上げすぎると本来は写っていてほしい箇所が白くなってしまう。この白くなった箇所が多すぎて絵柄に不都合が生じている状態。
黒つぶれ 写真の明度を下げすぎると本来は写っていてほしい箇所が黒くなってしまう。この黒くなった箇所が多すぎて絵柄に不都合が生じている状態。
トーンジャンプ グラデーション表現の箇所に線が現れている状態。空など、繊細なグラデーションを持つ箇所によく発生する。写真の表示倍率を100%にしても線が見える場合はトーンジャンプを起こしていると言える。
階調のグレーつぶれ 主に「トーンカーブ」の機能で下り坂を作ると発生する。色が反転し、グレーっぽくなってしまっている状態。

以下より、色調補正の方針について説明します。方針を立てて色調補正を行うことで見栄えの良い写真に仕上がります。

明度調整の方針

明度調整は「ヒストグラム」を見ながら行います。メニューバーの「ウィンドウ」から「ヒストグラム」をクリックするとヒストグラムパネルが表示されます。ヒストグラムパネルの「チャンネル」を「RGB」に変更します。

ヒストグラムは、横軸で「明るさのレベル(左に行くほど暗く、右に行くほど明るい)」を、縦軸では「ピクセル量」を示し、画像内の明度ごとのピクセル量をグラフ化して表示しています。ヒストグラムの山が左寄りであれば「暗めの画像」、右寄りであれば「明るめの画像」です。

ヒストグラムの形状は左端(シャドウ側)から右端(ハイライト側)までヒストグラムの「山」の裾野が伸びている形が理想的だとされています。少し難しい話をすると、画像の明度は255階調で表現されており、255階調の中にバランスよくピクセルが割り当てられていないと「締まりがない」や「ねむたい」といった印象を受ける画像になってしまいます。

「レベル補正」という色調補正の機能の一つを使うことでヒストグラムの形を補正し、ヒストグラムの「山」の裾野が伸びている形に近づけることができます。

また、「写真をどのような作風に仕上げたいか」にもよるのですが、明度をコントロールすることで写真にコントラストを付けることができます。「トーンカーブ」という色調補正の機能の一つを使うことで画像の特定の色合いに対して明度の差を作り出し、コントラストを作ることができます。

色相と彩度調整の方針

色相と彩度調整は「写真をどのような作風に仕上げたいか」にもよるので方針は一概には言えませんが、例えば、食べ物の写真を美味しそうに赤っぽく補正したり、渓流の写真を幽玄な感じで青っぽく補正したりといったことが「色相・彩度」という色調補正の機能の一つを使うことで実現できます。

また、色相と彩度調整は「赤かぶり」や「青かぶり」を起こした画像の補正にも役立ちます。
例えば、デジタルカメラなどで撮影をする際、照明や天候の条件などで画面全体が赤みを帯びたり、青みを帯びたりする場合があります。通称「赤かぶり」や「青かぶり」と呼ばれるこの現象は、画像内に強く出てしまった色調レベルを減らし、その「補色関係」にある色調のレベルを増やすことで補正することができます。

補色とは色相環において反対に位置する色の組み合わせを指します。
「RGB」と「CMYK」での補色関係は以下のようになっています。

「レッド(R)」と「シアン(C)」は補色関係
「グリーン(G)」と「マゼンタ(M)」は補色関係
「ブルー(B)」と「イエロー(Y)」は補色関係

「カラーバランス」という色調補正の機能の一つを使うことで「赤かぶり」状態の画像に対して補色である「シアン(C)」の色調のレベルを増やすことで自然な色味の写真に補正することができます。

代表的な色調補正について

ここからはよく使う色調補正の種類についてまとめます。各種色調補正はメニューバーの「イメージ」-「色調補正」から選択します。

レベル補正

先にも説明しましたが、レベル補正は、ヒストグラムの形を補正し、ヒストグラムの「山」の裾野が伸びている形に近づけることができます。

レベル補正では、画像の明度が255階調で表現されています。ヒストグラムの真下にある左側の▲はシャドウスライダと呼ばれ、明度の255階調のうちの0(黒)を定義するスライダです。右側の▲はハイライトスライダと呼ばれ、明度の255階調のうちの255(白)を定義するスライダです。

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ここからは実例でレベル補正の使い方を説明します。

例えば、以下の画像はヒストグラムの左側のシャドウ部分がほとんど無い、明るめの画像です。ピクセルがほとんど無いシャドウの部分に255階調の内の一部を割り当ててしまっているため、ぼやけたような締まりがない画像になってしまっています。この部分をカットするようにシャドウスライダを動かすと、カットされた部分が「黒つぶれ」の状態にはなってしまいますが、明度の255階調にピクセルの再割当てが行われ、画像全体に締まりが出て、鮮明な画像になります。
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続いて、以下の画像はさっきとは逆でハイライト部分がほとんど無い、かなり暗めの画像です。今回はハイライトスライダを動かし、無駄な部分をカットすることで、画像全体を明るく鮮明な画像にします。
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以下の画像もこれまでと同じようにシャドウスライダとハイライトスライダを動かして無駄に割り当てられている部分をカットすることで、画像が鮮明になります。
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ここまでレベル補正の使い方を見てきたことで、「締まりのない画像」を「鮮明な画像」に変えるためには、代償として「黒つぶれ」や「白とび」の部分が増えてしまうことが分かると思います。この「黒つぶれ」や「白とび」になってしまう部分を視覚的にわかりやすく確認する方法があります。

Altキーを押しながらシャドウスライダを動かすと、「黒とび」になる部分が黒く表示されます。逆にAltキーを押しながらハイライトスライダを動かすと「白とび」になる部分が白く表示されます。

写真の見せたい部分に「黒つぶれ」や「白とび」が発生して絵柄的な不都合が無いかを確認しながらレベル補正を行いましょう。

トーンカーブ

トーンカーブは画像の明度をピンポイントに調整したり、明度の差からコントラストを作り出す機能です。

明度を調整する

トーンカーブの背景にはおなじみのヒストグラムが表示されています。トーンカーブ上のどこでも良いので、クリックすると点が表示されます。その点をドラッグして上に引っ張ったり、下に引っ張ったりすると、ヒストグラム上の点が表示されている箇所に対応するピクセルの明度が変わります。

点を上に引っ張ると明るくなり、点を下に引っ張ると暗くなります。また、点を削除するには点を選択した状態でdeleteキーを押すか、点をドラッグしたままヒストグラムの外に引っ張ります。

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この点は最大で14個まで作成することができ、点同士の位置関係によってトーンカーブの曲がり具合を制御することができます。

これが理解できれば、あとはヒストグラムのどの位置が画像のどの位置に対応しているのかが分かれば、画像の好きな位置をピンポイントに明度調整することができるようになります。

ヒストグラムと画像の位置の対応を調べるために、トーンカーブウィンドウの左下にある手のマークをクリックします。

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この状態で画像の明度を変えたい部分をドラッグしたまま上に引っ張ると、トーンカーブ上に点が作成され、点が上に移動します。ドラッグしたままカーソルを上下に動かすと点の位置(画像の明度)も連動して上下に動くことが確認できると思います。

点が作成された位置がヒストグラムと対応した画像の位置になります。

この機能を利用することで、例えば、暗く写ってしまっている建物の内観の写真を修正するときに、天窓から見える空はこれ以上明るくせずに、建物の中だけをピンポイントに明るくするといったことができるようになります。

コントラストを作る

まず初めにコントラストとは何かというと、例えば夜空に打ち上げられた花火のように暗めの画像の中に明るいものが写っていると目立つと思いますが、この「夜空」と「花火」の関係のように明度が大きく違うものが隣り合っている状態をコントラストといいます。夜空と花火の例では「暗い画像の中に明るい被写体」という組み合わせでしたが、「明るい画像の中に暗い被写体」という逆の関係でもコントラストは成り立ちます。

トーンカーブを使うことによってコントラストを作ることができます。

トーンカーブ上に点を作成することで画像の明るさをピンポイントにコントロールできることを少し上で説明しましたが、この点が2つ以上存在し、その点の間にあるトーンカーブの角度が急になればなるほどコントラストが強くなります。つまり、以下の画像のような状態です。

contrast

点1を暗くし、点2を明るくしてコントラストを強くしています。トーンカーブを見れば分かると思いますが、画像全体に対して暗い箇所をより暗く、明るい箇所をより明るくなるように設定しているので、これは非常に極端なコントラストの作り方の例になります。

続いて、写真を全体的に明るくしつつ、ピンポイントにコントラストを作る場合の例を見ていきます。以下の画像では点1を少し明るく、点2を更に明るくすることでコントラストを作っています。

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実は点1と点2を作るだけでは、トーンカーブの角度が急になりすぎて、トーンカーブが天井にぶつかってしまいます。トーンカーブが天井にぶつかると、写真の意図しない部分が明度の255階調のうちの255(白)になってしまい、「白とび」を起こしてしまいます。同じようにトーンカーブが底にぶつかっても「黒つぶれ」が起きてしまうので気を付けましょう。今回は「白とび」を起こすことを避けるために点1と点2の他に3つの点を作ることで緩やかなカーブを作っています。

最後に、写真の一部分だけにコントラストを作り、その他の明度は変更したくないという場合を例に考えてみます。以下の画像では点1と点2の間にコントラストを作り、3つ目の点を起点にしてトーンカーブを緩やかにし、今までと変わらない明度にしています。

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ここまでトーンカーブについて説明してきましたが、トーンカーブを扱う上で気を付けなければいけないことがもう一つあります。それはトーンカーブを作るときは絶対に下り坂を作ってはいけないということです。トーンカーブは左下から右上への上り坂になっていますが、この坂が一部分でも下り坂になってしまうと画像が反転し、「階調のグレーつぶれ」を起こしてしまいます。

シャドウ・ハイライト

シャドウ・ハイライトは「明るい部分だけ暗くしたいとき」と「暗い部分だけ明るくしたいとき」に使う、写真の明度を変更するための機能です。

シャドウ・ハイライトウィンドウを開き、ウィンドウ下部の「詳細オプションを表示」のチェックボックスにチェックを付けます。

すると、多数のパラメータとスライドバーが並んだ、以下のような画面になります。

shadowhighright

シャドウの「量」のスライダを増やすと、画像の暗かった部分が明るくなります。シャドウの「階調の幅」のスライダを増やすと対象範囲が広がります。シャドウの「半径」のスライダを動かすとコントラストが調整できます。

ハイライトの「量」のスライダを増やすと、シャドウとは逆に、明るかった部分が暗くなります。ハイライトの「階調の幅」と「半径」についてはシャドウと全く同じです。

調整の「カラー補正」では彩度を調整することができます。明度を変更したあとに彩度が足りないと感じる場合はこのスライダで調整します。

色相・彩度

色相・彩度は、主に色合いや色の鮮やかさを調整する機能です。
色相・彩度ウィンドウを開くと、以下のような画面になります。

huesaturation

これらのスライダを動かすことで、画像全体の色相、彩度、明度を調整することができます。色相スライダを動かすと色が変わります。彩度スライダを動かすと色の鮮やかさが変わります。明度スライダを動かすと色の明るさが変わります。

特定の色のみ変更したい場合は色相・彩度ウィンドウの左下にある手のアイコンをクリックし、画像の色を変えたい部分をクリックします。この状態で「色相」「彩度」「明度」の各スライダを動かすとクリックした部分が各スライダの種類に応じて変化します。

huesaturation-2

色が変化する範囲をもっと絞り込みたいときは画面下部に表示される4つのツマミを動かすことで調整することができます。

huesaturation-3

ツマミを動かして範囲を調整するときは、一度「彩度」のスライダを限界(+100)まで上げて、変化する範囲を分かりやすくしてから調整しましょう。

カラーバランス

カラーバランスは、主に写真全体の色合いを調整する機能です。
カラーバランスウィンドウを開くと、以下のような画面になります。

colorbalance

主に中央の3つのスライダを使って画像の色合いを調整します。
例えば、「画像が全体的に赤みがかっている」と感じたら、「レッド(R)」の補色である「シアン(C)」にスライダを動かせば、画像の赤みが消えます。同じように「画像が全体的に青みがかっている」と感じる場合は、「ブルー(B)」の補色である「イエロー(Y)」にスライダを動かせば、画像の青みが消えます。

カラーバランスは上記のような色合いを正しく修正するためにも使えるのですが、ニュートラルな色合いをあえて暖色や寒色に寄せることで写真の雰囲気を変えることもできます。

写真の雰囲気を暖かい感じの暖色(アンバー)にしたいときは、レッド(R)とイエロー(Y)の混合色にします。(R+Y)
写真の雰囲気を冷たい感じ、寒色(ブルー)にしたいときは、ブルー(B)、もしくはシアン(C)を使います。(BorC)

また、暖色と寒色以外の色合いも写真の作風によっては使えることがあります。例えば、森の風景写真で木々の緑を強調したいときはグリーン(G)を使っても大丈夫です。

最後に写真の色合いをピンポイントに変える方法を説明します。カラーバランスウィンドウの下部にある「階調のバランス」の3つのラジオボタンによって色合いを変えたい部分を指定することができます。

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初期状態では、ラジオボタンの「中間調」が選択された状態になっています。
ラジオボタン「シャドウ」をクリックすると、カラーバランスのスライダによって、写真の暗い部分の色を調整することができます。ラジオボタン「ハイライト」をクリックすると、カラーバランスのスライダによって、写真の明るい部分の色を調整することができます。

他にも「輝度を保持」というオプションがありますが、これは本記事の最後に説明します。

レンズフィルター

レンズフィルターは、ニュートラルな色合いの画像を暖色系や寒色系の色合いに変えることができる機能です。カラーバランスと似た機能ではありますが、カラーバランスと違って暖色系や寒色系の色合い(フィルター)が初めから用意されており、それを画像に適用することで色合いを調整することができます。ちなみにフィルターは「フィルター暖色系(85)」のような名称になっていますが、この「(85)」は実際に発売されているフィルターの製品名が元となっています。

レンズフィルターウィンドウを開くと以下のような画面になります。

lensfilter

フィルターオプションのプルダウンメニューから好きなフィルターを選択し、「適用量」のスライダを動かして色合いを作ります。初めからフィルターが用意されている分、かなり楽に色合いを作ることができます。

また、フィルターオプションの「カスタム」にチェックを付けてオレンジ色のボックスをクリックすると自分でフィルターの色を決めることができます。

※「カラーバランス」と「レンズフィルター」には「輝度を保持」というオプションがあります。「輝度を保持」のチェックボックスは、「輝度値」という内部データを保持するためのものなので、見た目ではここをオンにしたほうが明るさが変わらないように見える場合と、オフにしたほうが明るさが変わらないように見える場合が出てきます。「輝度を保持」のチェックボックスは、難しい理屈は抜きに、自然に見える方を選択しましょう。

参考資料
スクールの教科書
レベル補正の使用方法 (Photoshop CS)
思い通りに修正しよう!Photoshopの使い方〝詳細〟解説 ② 全ての基本「トーンカーブ」の見方とつくり方【トーンカーブ前編】 - Adobe Blog
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